江沢民国家主席(共産党総書記)の最大のライバルといわれた喬石・前全人代常務委員長が、江体制の長期化阻止に向けて動きを活発化させている。喬石氏の勢力回復を象徴したのが昨年十二月二十日夜、北京の首都体育館で開催されたマカオの返還祝賀式典。ひな段に設けられた政治局常務委員用の七席の特別席に、江主席、朱鎔基首相らとともに喬石氏が座ったからだ。

 李嵐清副首相が姿を見せず席が空いたためだが、関係の深い尉健行常務委員と話し込む姿は数万人の招待客に目撃され、「喬石健在」を印象づけた。今年に入っても、広東省視察の模様を現地紙が大きく伝えるなど、「トウ小平の復活プロセスを思わせる」(西側外交筋)状況だ。

 背景には江主席が二〇〇二年に予定される次期党大会で、国家主席退任はのむものの党総書記の三選を狙っていることがある。最近では党若手幹部に「総書記三選支持」の意見書を“お手盛り”で作成させるなど、権力への執着も露骨。これに反対する勢力が喬石氏を担ぎだし、江主席に引導を渡すよう要請したという。喬石氏も世代交代の促進を最後の務めと考え、活動を再開した模様。今後の二人の対決が注目される。

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