トルコ元文化相暗殺事件が引き起こしたイランの内紛
2000年1月号
対トルコ政策をめぐり、イラン政府内で外務省と情報機関の軋轢が強まっている。
昨年十月二十一日、トルコのアフメット・クシュラル元文化相が、アンカラ郊外の自宅前で自家用車に乗ろうとしたところ、車に仕掛けられた爆弾が爆発、同氏は死亡した。その後、このテロにかかわったとしてイラン情報機関のメンバー三人が逮捕されたが、このことでイラン政府内の対立はピークに達したという。
トルコはイランがイスラム過激派の活動を援助し、イスラム革命を輸出していることを強く警戒。一昨年春頃まで両国は緊張関係にあった。しかし、共通の“敵”であるイラクに対抗するために双方ともお互いの地理的重要性を認識、関係改善を図っていたところだった。そんな中でイラン外務省としては、トルコとの間で緊張関係が高まるのを避けたかったにもかかわらず、情報機関が外交当局の顔に泥を塗ったわけだ。
昨年十一月初め、イランのハラジ外相はハタミ大統領に対して、情報省は外務省に知らせずに工作活動を行ない国益を損ねたと強く抗議、さらに、情報機関と外交当局との間で協議を行なうことを要請したという情報もある。
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