政府が二〇〇二年末までに打ち上げる情報収集衛星をめぐって思わぬ不安が浮上。衛星の隠密行動がすべて米国に捕捉されるというのだ。

 情報収集衛星は北朝鮮のテポドン発射をきっかけに導入が決まり、来年度予算に開発費や地上施設建設費など五百億円強が計上されている。名前は「情報収集」だが、実態は偵察衛星。分解能は一メートルで、米国の偵察衛星「KH11」の十五センチには遠く及ばず、しかも米国の商業衛星「イコノス」と同程度。それでも自前の衛星が必要な理由を自衛隊幹部は「画像を要求すればどんな情報を求めているか知られてしまう。しかも米国の衛星画像は米政府の意向で販売を差し止められることがあるから」と説明する。

 ところが最近、「自前の衛星でも日本政府の意図は米国にバレる」との指摘が出始めた。防衛庁幹部は「夜間や悪天候時に使う合成開口レーダーは目標上空でレーダーを振るので、北米航空宇宙司令部(NORAD)からその動きを捕捉される」と指摘する。さらに衛星の軌道を追えば、日本がどの国の情報を取ろうとしているのか完全に分かるのだ。それでも「ないよりはマシ」か?

 

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