人口予測が分かつ米露「二十一世紀の明暗」

執筆者:藤村幹雄2000年1月号

ロシアは「民族絶滅」、米国は「ヒスパニックの国」

[ワシントン発]二〇五〇年にロシアの人口は最高四五%減少し、米国の人口は同四五%増加する――という米専門家の人口動態予測がこのほど明らかになった。深刻な環境・衛生問題や少子化、エイズなどの疫病が広がるロシアで人口激減が進み、五百年後にロシア民族は恐竜のように絶滅する可能性がささやかれている。これに対し、人材や移民を吸収する米国の人口は二十一世紀に膨張する方向にある。二十世紀の両超大国は、二十一世紀に明暗を分かつことになろう。

 国連経済社会委員会の九八年版世界人口予測によれば、現在六十億人の世界の人口は五十年後に八十九億人となり、途上国の増加、先進国の減少が顕著になる。二〇五〇年にはインドが推定十五億人で、中国を抜いてトップに立ち、三位が米国。以下パキスタン、インドネシア、ナイジェリア、ブラジル、バングラデシュ、エチオピア、コンゴ民主共和国と続き、十位内に先進国は米国だけだ。一九九八年に一億二千六百万人で八位だった日本は一億五百万人で十七位。アジアでは、フィリピンとベトナムが日本を抜くとみられる。

 国連予測では、現在一億四千七百万人で七位のロシアは五十年後、一億二千万人で十四位になるとされている。しかし、米国のロシア専門家で人口問題に詳しいムレー・フェッシュバック・ジョージタウン大学教授は独自の推計を基に、「今後ロシアの人口は環境、保健問題の悪化で急激に減少し、五十年後に八千万―一億人に低下する」と警鐘を鳴らす。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。