当代きっての未来学者は「未来はダイナミックで興味深い。だが危険もはらんでいる」と語る。「トレンドを信用しない」というトフラー氏は、いかにして未来を見通すのか。その秘密に迫る。

 世界的なベストセラー『未来の衝撃』『第三の波』『パワーシフト』で、ハイテク社会の在りようを的確に描いてみせた未来学者のアルヴィン・トフラー氏は、現代最高の知性の一人といって過言ではないだろう。

 ビバリーヒルズのホテルに現れたトフラー氏は、七十一歳という年齢を全く感じさせない軽やかさで席につくなり、「インタビューの前に、まずは最近の日本の様子を聞かせて欲しい。自自公連立は、どういう調子なのかな」と身を乗り出してきた。

 時に個人的な話も交えながら、トフラー氏が縦横無尽に世界を語った。

世界各地の「アメリカ離れ」

――冷戦後、アメリカが「唯一の超大国」であることの功罪を、どうご覧になっていますか。

「一極(unipolar)システム」の下で、世界がいっそう不安定になりつつあることは明らかです。というのも、「アメリカ離れ」ともいうべき現象が世界各地で起こっているからです。たとえば、アジアには独自のIMFを創設しようという議論があり、ヨーロッパは独自の軍隊を持とうとしている。これらは露骨な反米運動になることもあるが、多くは深く静かに潜行している。一方で、多くの国の若者はアメリカのポップ・カルチャーに魅了されている。世界はアメリカに対して愛憎相半ばした感情を抱いているといえるでしょう。

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