教育現場の荒廃は日本だけの話ではない。「銃社会」アメリカの場合、学校に対する不安はより切実な問題として存在している。そんな中、「子供たちを安心して通わせられる学校」を目指した、あらたな試みも始まっている。教育現場の最前線を歩いてみた。

 日本では近年、教育問題への関心が高まっているようである。実際、学生の学力低下、学級崩壊、「お受験」問題、校内での犯罪など、愁うべき事態が多々生じていることは否定の仕様がない。

 実は、教育現場で深刻な問題が生じているのは米国も同じだ。特に、銃社会の米国の場合、学校内犯罪への懸念はより大きな現実として存在している。昨年の四月に起こったコロラド州コロンバイン高校での銃乱射事件は、死者十五人、負傷者二十三人という史上最悪の結果をもたらし、多くのアメリカ人を恐怖に陥れた。昨年八月、インターネット調査会社「フレンチ・トースト・コム」が、全米の六歳から十七歳の子供を持つ親六百二十人を対象に行った調査では、全体の四分の三が「校内暴力を恐れて子供が勉強に集中できず、成績が下がっているのではないか」との疑念を持っていると回答している。また、ロサンゼルス・タイムズ紙がカリフォルニア州の住民千六百二人を対象に行った調査でも、約半数が「学校は安全でない」と答えたという。

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