ヒラリー米大統領夫人は、申し分のない富と地位、名声を手に入れながら夫の女性問題に傷ついた。だが、ことし五月に四十五歳で四人目の子供を出産するシェリー英首相夫人は、およそ女性が望むすべてのものを手に入れたかのようだ。首相夫人の華やかな役割を果たすだけでなく、英国でも一流の法廷弁護士である彼女は、今回の妊娠で妻や母親としての幸せも国民に印象付けたからだ。

 夫のブレア首相は、二十世紀から二十一世紀にかけて政権を担当し、大英帝国の遺産克服と「新たな英国」の建設により歴史に名を残す野望に燃える。才色兼備の夫人との間に、新千年紀の最初の年に誕生する「ミレニアム・ベビー」のニュースに英国は沸き立った。ゴシップが売り物の英マスコミは、ポスト・ダイアナの目玉として追いかけ回そうと待ちかまえている。

 夫人は今後、首相夫人、四人の子供の母親、夫を上回る年収二十万ポンド(約三千五百万円)の法律家という三つの役割を見事にこなすスーパー・ウーマンとしてのイメージを期待される。英国で急増する働く女性にとっては彼女の一言一言が励ましの言葉として響き、英国民の多くはブレア一家に理想の家庭像を見ようとするだろう。

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