世界が注目する日本型ネットビジネス

執筆者:九鬼新平2000年1月号

その中心を担うのは携帯電話、コンビニ、ゲーム機

 日本の産業界にとって、一九九九年は、構造改革に明け暮れた一年だった。一方で、大型合併などの産業再編やリストラという派手派手しい話題に隠れた形になったが、日本型インターネットの普及に向けての道筋が見え始めた一年間でもあった。パソコンとともに、インターネット普及で大きく先行している米国に対し、日本は携帯電話、コンビニ、ゲーム機という日本独自の商品・サービスを核に本格的なインターネット、電子商取引に突入しようとしている。

「インターネットの時代はすなわちパソコンの時代といえたが、これからはパソコン+の時代であることがはっきりしてきた」

 昨年十月、来日したマイクロソフトのスティーブ・バルマー社長は記者会見で、こう切り出した。

 その数週間後、今度はインテルのグレイグ・バレット社長が来日、インターネット関連企業を精力的に訪問。「日本でもようやくインターネット普及の機が熟してきた」との印象を語った。

 パソコン時代を支配してきた「ウィンテル」二社は、ここ数年、猛烈な勢いでインターネット関連事業を強化している。ソフト、サービス会社を次々と買収。インターネット関連の事業でも覇権を握る決意だ。そして、この二社の首脳は今回の来日で、「パソコンをゲートウェイ(入り口)にしないインターネットの普及モデル」としての日本に特に注目したのだった。

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