朝鮮総連で権力の移行が進んでいる模様だ。重体に陥っている韓徳銖議長を始めとする旧世代に代わって、金正日総書記に近い若手世代が台頭しているからだ。

 九十二歳と高齢の韓議長の後継としては、徐萬述第一副議長もしくは許宗萬責任副議長が有力とされてきた。しかし、仮に両者のうち一方が後継者となっても、「実権は改革派を自称する若手に握られる可能性が高い」(総連関係者)という。

 北朝鮮国内にあっても、金総書記が父親の金日成世代の実力者を排除して、自ら抜擢した人物による側近政治を進めているのは周知の通り。その影響が総連にも及んでいるというのである。

「総連の若手として注目される一人が金宰鉉氏。総連系の金剛山歌劇団の演出家という、いかにも金正日好みの人物で、最近になって朝鮮労働党中央委員会書記へと異例の抜擢を受けた。そもそも金正日は現在の総連幹部である旧世代を信用しておらず、金宰鉉氏ら若手に経連を委ねたい」(前出の総連関係者)というのが本音のようだ。

 しかし、金総書記の威光によって台頭した若手世代が、真の「改革派」といえるかどうかは疑わしいと見られている。

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