コール前首相の政治献金スキャンダルに揺れるドイツで、今度はシュレーダー首相の足元でもきな臭い煙が立ち始めた。地元ニーダーザクセン州での汚職事件の解明が進むにつれ、首相周辺にも疑惑の影がちらつきだしたからだ。

 シュレーダー氏は、連邦の首相になる前はニーダーザクセン州の首相を務めていた。一昨年十月に後継者として州首相に就任したのは、シュレーダー氏と同じ社民党出身のグロゴフスキ氏だが、企業から不当な利益を得ていた事実が発覚して昨年十一月に辞任している。「不当な利益」の内容は、新婚旅行の費用や住宅購入費の一部を企業に払わせていたというものだが、その後、州が大株主であるフォルクスワーゲンからの監査役報酬を着服していたなどの不正が相次いで明るみに出ている。

 野党側は、グロゴフスキ氏は前任者であるシュレーダー氏から不当利益を引き継いだ可能性があるとして追及を開始。州議会が設置した調査委員会は二月、シュレーダー氏本人の証人喚問を求めたが、社民党がこれを拒否している。この事件では証拠書類の改竄など多くの謎が浮上、調査の進展次第では今後、新たな疑惑が浮上する可能性もある。

 

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