インドとパキスタンが帰属権を争うカシミール地方で、パキスタン陸軍と親パキスタンイスラム武装勢力が印パを隔てる実効支配線停戦(停戦ライン)沿いに大規模兵力を集結中だ。パキスタン軍と親パ武装勢は昨年夏も、カシミールのインド側支配地域の高地を占拠してインド陸・空軍と激しい戦闘を展開している。

 親パ武装勢力は総勢数百人で、カシミール地方でテロ活動を展開するイスラム過激派の四大組織である「ハルカトゥル・ムジャヒディン」「ラシュカリ・トイバ」「アル・バダル」「ヒズブル・ムジャヒディン」の主力部隊で構成。パキスタン軍統合情報部(ISI)は四組織に「カシミール解放合同軍(CKLA)」の結成を呼びかけ、パキスタン軍指揮下での統合的な指揮運用体系を構築しつつある模様だ。武装勢力はまた、インド側カシミール内奥部に潜入し、テロ活動を通じた「解放区」の形成も画策している。

 一方のインド政府はV. P. マリク陸軍参謀長を停戦ライン付近に急派し、防衛態勢を確認するなど、両国の動きは慌ただしさを増している。三月下旬からの雪解けを待ち、カシミール地方で再び戦火が激しくなるのは不可避の情勢だ。

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