教育改革の切り札は「能力別編成」

執筆者:森口朗2000年2月号

二〇〇二年、学習指導要領が変る。これにより更なる学力低下は必至だ。公教育を立て直すには戦後教育界の“タブー”に挑戦するしかない。 二〇〇二年から学習指導要領が大きく変わる。そして、この実施に向けて、公立学校では二〇〇〇年の新学期から移行措置が始まる。指導要領の改訂によって、学校はどのように変わるのか、簡単に説明しておこう。 まず、現在の公立学校は隔週の土曜日が休みであるが、それが完全週休二日制になり、週平均二時間、授業時間が減少する。さらに国語、英語、数学・算数などの教科授業の内容が平均で三割程度カットされる。例えば、小学校算数から、「台形の面積や円錐、円柱の体積の求積」という単元が消える。また、中学校で習う英単語の量は、実に八割もカットされる。 教科授業が減る一方で、「総合的学習の時間」が新設される。この「総合的学習」こそが新指導要領の目玉なのだが、その内容については後述する。 では、新指導要領はどのような「ねらい」をもって実施されるのかというと、一般的には次のように説明されている。 義務教育段階で習得すべき知識量を減らし、「ゆとり」ある学校生活を実現する。これによって「落ちこぼれ」を減らし、知的好奇心を枯渇させるような「詰込み授業」も解消される。総合的学習の導入により、課題発見、課題解決型の学習を今以上に強化する。上記二つの方策によって、各人の興味関心に基づいた積極的な学習が可能になる――というのが文部省の考え方だ。

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