民主党の鳩山由紀夫代表が衆院比例定数削減法の成立過程をめぐって、与党の謝罪と衆院の話し合い解散を求めて国会外に去りながら、何の成果も得られないまま国会に戻った。逆に小渕恵三首相は再び解散権行使のフリーハンドを得た格好だ。

 鳩山氏の誤算の一つは、衆院の早期解散が民主党に有利と踏んだ点だろう。確かに羽田孜幹事長や熊谷弘幹事長代理の主張通り、国会審議拒否を続ければ、二〇〇〇年度予算案も与党単独で成立し、その後の空白を埋めるために沖縄サミット前の解散という運びになるはずだった。公明党の浜四津敏子代表代行が「四月二十三日投票」もあり得ると警戒したのも、そのためだ。

 だが早期解散は、必ずしも衆院選の民主党勝利に直結するわけではない。渡部恒三衆院副議長が二月三日夜、赤坂の副議長公邸で鳩山氏に国会正常化への努力を求めたのは、旧新進党が国会内のピケによって国民の支持を失ったという経験からだった。しかも、民主党は衆院小選挙区候補をまだ二百人強しか準備できておらず、「今解散したら大変」(川端達夫国対委員長)というのが本音だ。

 鳩山氏のもう一つの誤算は、場外戦の間に共産党との連立政権構想が取り沙汰されたこと。鳩山氏と共産党の不破哲三委員長との握手はこれまで改憲、安保論争で見せた鳩山氏への保守層の信頼を失わせてしまった。党内では、早くから国会審議の復帰を主張した菅直人政調会長の発言力が増しつつある。

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