ヒラリーの選挙戦を支える参謀とカネ

執筆者:アレクシス・シメンディンガー2000年3月号

 ついに前代未聞のファーストレディーの上院選キャンペーンの火蓋が切って落とされた。「選対本部はホワイトハウス」とも言われるヒラリー陣営の内情を探る。

[ワシントン発]ヒラリー・ローダム・クリントンを、十一月の上院選でいかに勝利に導くか――日々、その戦略を練る彼女の選挙参謀たちは、ここににきていくつかの重要な点で手応えを感じ始めている。

 まず一つ、二月六日にニューヨーク州パーチェスで正式に火蓋が切って落とされた「ヒラリー!」キャンペーンは概ね好意的に受けとめられ、マスコミはその様子をこぞって取り上げた。

 第二に、最近の世論調査によれば、共和党のニューヨーク市長ルドルフ・ジュリアーニに圧され気味だったヒラリーの支持率低下に歯止めがかかり、現時点で二人は接戦を演じている。

 第三に、何百万ドルもの現金を要する選挙資金の調達は、ヒラリー陣営にとっては問題ではないこと。

 第四に、選挙報道がようやく「政策論争」に集中し始めた。これこそ、ヒラリーの得意とするところだ。

 そして第五に、いつまでも現職ニューヨーク市長の顔ばかり押し出して、上院議員候補らしい振る舞いを見せないジュリアーニに、肝心のニューヨーク州共和党が態度を硬化させている点が挙げられる。このため付け入る隙があると見た保守派のリック・ラッジオ下院議員が、一度は諦めたはずの指名候補の座をジュリアーニと争う可能性を示唆し始めた。共和党の内紛劇は、ヒラリー陣営にとっては、またとない朗報と言える。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。