本格的シンクタンクの創設を

執筆者:鈴木崇弘2000年3月号

日本の改革を実現するためには、「知のインフラ」整備が不可欠。その起爆剤となるのは、民間非営利独立型シンクタンクの創設だ。 今日の日本の現状は、これまでになく、先行きが見えにくくなっている。わずかながら好転への兆しがあるものの、むしろ、このままズルズルと悪い方向に向かってしまうのではないかということすら危惧される。この根本的な原因は、今日の日本では現状を根本から変え、良くしていこうという「意思」、特に「政策的な意思」が存在しないからである。 では、なぜ日本が「意思」のない社会になってしまったのだろうか。それは、日本が民主主義という制度に基づいた社会を運営しているにもかかわらず、その運用のために必要な制度や人材などの「知のインフラ」を造ってこなかったことに大きく起因している。 民主主義には本来、固定した理想的な形があるわけではない。政策形成過程において様々なプレーヤー(参加者)が「知のインフラ」を活用し、自らのアイデアを実現するために常に競い合いながら、政策や制度を改善したり、それらを壊したり、新たに造り直したりして、その制度が成り立つという、手間とコストが膨大にかかるシステムなのである。

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