金融再生委員会の前委員長・越智通雄氏が「検査の手心」発言で辞任を余儀なくされ、谷垣禎一新委員長が就任したことで、金融監督庁がホッと胸をなで下ろしている。検査部は「これで監督庁の検査が厳正だと再び評価してもらえる」と大喜びだが、実は最も喜んでいるのは日野正晴監督庁長官(三十四年司法修習生)と、浜中秀一郎監督庁次長(四十三年大蔵省入省)だという。

 越智前委員長は昨年十月の就任以来、監督庁を完全に再生委の支配下に置こうと腐心していた模様。監督庁幹部によると、「再生委員会の委員長室に、監督庁幹部の在・不在が一目で分かるランプを設置して、いると分かるとつまらないことでもいちいち呼び付けていた」。本来なら監督庁が担当するはずの生保問題にも首を突っ込もうと躍起だったらしい。さらに越智氏は、日野長官、浜中次長の二人は「柳沢(伯夫元委員長)寄り」と見て、「今年夏の金融庁発足時には更迭しようと画策していた」との証言もある。

 谷垣新委員長はハト派の政策通として知られ、大蔵政務次官なども経験した「官僚に理解のある秀才」(大蔵省幹部)。官僚の人事を強引に動かすような素振りもないため、日野長官―浜中次長体制が続くという観測が強まっている。

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