北朝鮮「全方位外交」の真意

執筆者:落合秀光2000年3月号

「テロ支援国リスト」から外される可能性はほとんどないが……

[ソウル発]北朝鮮がこれまでの米国一辺倒から全方位外交へと転換を試みようとしている。同時に、この春の外交の結果が今後の北朝鮮の行方を決めるターニングポイントとなりそうだ。

 米朝関係では三月七日からニューヨークで北朝鮮高官の訪米に向けた協議が始まり、もし順調にいけば四月に北朝鮮高官の訪米が実現する。日朝関係では、日本政府が十万トンのコメ支援を発表したばかりだが、三月十三日から北京で日朝赤十字会談が行なわれ、四月前半には平壌で七年ぶりに日朝正常化交渉の本会談が開かれる予定だ。

 北朝鮮の白南淳外相は三月十八日に訪中し、その後、ベトナム、ラオスなど東南アジアを訪問。イタリア外相の訪朝も三月末に計画されている。

 北朝鮮が赤軍派の追放を拒否していることもあり、今回の米朝協議で、米国が北朝鮮をテロ支援国リストから外す可能性はほとんどないが、北朝鮮側は高官の訪米をカードとして、リストからの削除を執拗に迫ることは必至だろう。米国側は協議終了の一カ月後に北朝鮮高官の訪米が実現するというスケジュールを目論んでいるようだが、協議は長期化する可能性も高く、楽観は禁物だろう。

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