台湾の軍事力は欠陥が多く、弱体化している――とする米国防総省の秘密報告書が一部米紙で公表され、物議を醸している。台湾軍は量で中国軍に劣るものの、質では優勢という通説を覆す内容だが、「台湾に最新兵器を売却するための口実作り」(外交筋)との見方も出ている。

 台湾は中国が増強するミサイルや航空戦力に対抗するため、イージス艦四隻をはじめ、長距離レーダー、最新鋭潜水艦などの売却を米政府に要請。戦域ミサイル防衛(TMD)の一部となる改良型パトリオット(PAC3)の供与も求めている。四月の米台武器協議を経て、夏にも結論が出る見通しだ。

 米政府内では、大統領選を控えるゴア副大統領が台湾への最新兵器供与を支持しているという。同副大統領としては、対中姿勢の弱腰批判を回避し、兵器産業の多いカリフォルニア州を制したいとの思惑があり、クリントン政権下での決定なら、中国にも釈明できる。一九九二年の大統領選直前、ブッシュ前大統領も対中弱腰批判に対抗し、台湾にF16戦闘機百五十機を供与すると発表した経緯がある。親台湾派となったキャンベル国防副次官補もクリントン退陣前の売却を支持しているという。

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