北朝鮮高官の訪米問題難航など米朝関係が低迷する背景として、北朝鮮外務省内の親米派の凋落が指摘されている。

 対米関係をめぐってはこの数年、親米派の外務省と強硬派の軍部が主導権争いを展開してきたが、米政府筋によれば、三月のニューヨークでの米朝協議で、金桂寛外務次官が米国の追加制裁解除やテロ支援国リストからの削除を獲得できなかったことで金正日指導部の叱責を受けているという。同次官は協議後、ジョージア州を訪れ、カーター元大統領の訪朝を画策したが、失敗した。

 対米関係を統率する姜錫柱第一外務次官も、九四年の米朝協議以降、一切外遊しておらず、国内で監視対象に置かれているとの情報がある。同次官は故金日成主席の信頼が厚く、金正日党総書記にも直接報告できる人物とされ、米側は訪米を打診したが、それも困難な情勢という。

 北朝鮮軍はこのところ、米国の戦域ミサイル防衛(TMD)構想への批判を強化、今年の冬季演習では対米戦を念頭に近年最大規模の軍事演習を実施した。親米派の凋落が進めば、外務省が主導した弾道ミサイル、テポドンの発射凍結措置も再考される可能性が強い。

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