アルバニア系住民が帰還し北大西洋条約機構(NATO)軍に守られ事実上の「独立」を果たしたコソボ。明確な国境管理もない同地は、アフガニスタンやトルコから西欧諸国に流れる麻薬の四〇%が集結するなど、暗黒経済が支配する無法地帯となっている。

 そんな中、アルバニア本国に拠点を築きコソボ解放軍(KLA)を支援してきたオサマ・ビン・ラディンのグループも、コソボに本格進出を果たしたもようだ。四月上旬、ある情報を受けて、コソボに展開するNATO軍主体の国際治安部隊(KFOR)が、州都プリシュティナにあるサウジアラビアの人道援助団体事務所を急襲したが、直前に関係者が逃げ出したため何も発見できず作戦は失敗に終わった。この団体はコソボでのラディン・グループの拠点だったと見られている。

 セルビア人がコソボから追い出され「共存」が失敗した上、イスラム原理主義のテロ組織がコソボに根を張ればNATOへの反発拡大は必至なため、KFORはラディン阻止に全力を挙げている。KFOR筋は「ラディン進出の証拠はある。いずれ尻尾をつかむ」と将来の大がかりな軍事作戦を示唆している。

 

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