汚職疑惑の批判を受けて辞任したサンテール前委員長に代わって、昨年九月に欧州委員会委員長に就任したプロディ氏(前イタリア首相)に、早くも辞任説が流れている。今年一月以降、地元イタリアのマスコミが相次いでイタリア政界復帰説を流したほか、四月に入ってドイツの有力紙フランクフルター・アルゲマイネが一面で「(他の欧州委員からの)辞任圧力にさらされている」と報じた。

 現在、懸案となっている中・東欧諸国のEU(欧州連合)加盟交渉では、承認時期の目標設定を訴え、既加盟国からの批判を浴びたプロディ氏。今年初めには加盟国首脳への打診なしにリビアの最高指導者カダフィ大佐のブリュッセル訪問に前向きな姿勢を示すなど、一部にはその指導力を疑問視する声も出ていた。

 その一方で、「プロディ批判の背景にはプロディ氏が進める欧州委員会の機構改革への不満がある」(EU筋)との観測もある。プロディ氏は、汚職疑惑の再発防止を掲げると同時に、「欧州委員会をフランス型の大規模官僚機構から企業型に変え、効率化しようとしている」とされ、この改革の過程で従来の役職を解かれた高官の間に不満が高まっているという。

 

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