一カ月足らずで破談となったドイツ銀、ドレスナー銀の合併。米バンカース・トラストの買収を果たしているドイツ銀には、単独でグローバル戦略を展開するという選択肢が残されているが、一方のドレスナー側の先行きはワルター頭取辞任の後も不透明。早くも外銀による格好の買収標的との見方が強まっている。

 当初約束した投資銀行部門(クラインオート・ベンソン)の維持をドイツ銀側が守らないとして、合併破棄を突き付けたのはドレスナー側。しかし両行の実力から見て「対等合併」の約束が外交辞令に過ぎないことは明らかだった。ライバル行に身を投げ出し、自前戦略の欠如をさらしてしまったドレスナーの合併破棄は、「裸で嵐の中に飛び出したようなもの」と独金融界の目は冷たい。

 ドレスナーの将来を握るのは、株式二一%を保有する保険最大手のアリアンツ。しかし同社は、合併行からリテール部門の経営権を譲り受ける予定だっただけに、突然の合併破棄には怒り心頭。シュルテネレ社長は「ドイツ銀とはリテール提携で協議を続けたい」と、破談後はむしろドイツ銀との関係を強める考えを表明しており、ドレスナー株を外銀に手放す可能性もある。

 

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。