“エリツィン離れ”を加速するプーチン氏
2000年4月号
ロシアのプーチン大統領代行(五月七日新大統領に就任予定)の“エリツィン離れ”が加速しそうな雲行きだ。クレムリン筋によると、三月の大統領選で当選後間もなく、プーチン代行はエリツィン前大統領への終身年金支給を認める文書に署名した際、「これで恩人への義務はすべて果たした」と語り、今後は前大統領と一定の距離を保っていく考えを強く示唆した。 プーチン代行は大統領選挙期間中もエリツィン氏に対し、婉曲な言い回しながら「選挙が終わるまでマスコミの前でしゃべらないで欲しい」と伝え、「選挙後は一緒に働こう」と意欲的だったエリツィン氏の不興を買ったという。 クレムリン筋は「自分を後継者にしてくれたエリツィン氏に対する一連の身分保障の問題が年金支給承認で一段落したので、今後は独自の権力基盤を築きたいというのがプーチン氏の本音」と指摘する。 大統領選挙後も、エリツィン前大統領はモスクワ郊外の別荘でプーチン当選を祝福したと伝えられる以外、公にはほとんど姿を見せていない。これも、前大統領の影響力排除を図るプーチン代行の意向が働いている結果のようだ。
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