今年十月にKDD、DDI、IDOの通信三社が合併して誕生する新DDI会長に牛尾治朗氏が決まったことで、KDD社内に衝撃が広がっている。牛尾氏はDDIの社外取締役を務め、DDI・京セラグループの総帥である稲盛和夫・名誉会長にきわめて近いだけに、新会社の社長に就任する奥山雄材社長兼会長と合わせ、DDIの新会社支配が明白になって来たからだ。 KDDは当初、IDOやKDD自身が九八年に吸収合併したテレウェイの筆頭株主だったトヨタ自動車が新会社でも強い影響力を発揮、DDI・京セラグループの力を牽制すると判断して合併構想に乗った。両者が張り合えば「技術基盤や海外との交渉力を持つKDDが主導権を発揮するチャンスはある」と見たのだ。 だが、トヨタが牛尾氏の就任を容認、新会社での主導権争いで一歩引き下がったため、KDDの戦略が大きく狂った。もともと「野武士のDDI」に「お公家のKDD」といわれる社風だけに新会社でのKDD出身者の劣勢は否めない。一方、トヨタも「通信を第二のコア事業に」という意欲が急速に薄れている模様で、「通信分野からの全面撤退」(郵政省関係者)の観測も流れ始めた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。