米政府が、沖縄本島とその周辺の空域の航空管制をしている米空軍嘉手納基地の管制業務「嘉手納ラプコン(レーダー・アプローチ・コントロール)」を日本側に移すことを明らかにしたことから、運輸省と防衛庁の暗闘が始まろうとしている。 米軍は、嘉手納、普天間両基地に発着する米軍機の管制とともに、嘉手納上空の半径九十キロ、高度六千メートル以下の空域を管轄。このため、那覇空港を発着する民間機は離着陸の前後に低空飛行を強いられ、安全に問題があると指摘されてきた。 嘉手納ラプコンは那覇空港を管制する運輸省航空局が引き継ぐのが自然だが、米軍は返還条件に米軍の運用に支障がないことを挙げていることから、航空自衛隊幹部は「(沖縄から近い)中台問題を考えると、米軍は自衛隊への管制移管を求めるのではないか」という。 運輸省航空局と航空自衛隊は知る人ぞ知る犬猿の仲。官民共用空港のうち、運輸省が管制する空港は「管制官らで組織する全運輸省労働組合が強いせいか、自衛隊機が離着陸を後回しにされることが多く、空自は不満に思っている」(空自幹部)といい、嘉手納ラプコンの行方によっては「不仲は決定的」になるとも。

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