「反資本主義」過激NGOの実態

執筆者:松島芳彦2000年5月号

次に狙われるのは七月の沖縄サミットか

[ロンドン発]昨年六月にケルンの主要国首脳会議に合わせてロンドンの金融街シティで騒乱を起こし、年末には米国シアトルでの世界貿易機関(WTO)閣僚会議を大混乱させた過激な「反資本主義」勢力が、その後もネット空間を温床に増殖を続けている。

 ことし五月一日にはロンドン中心部に約五千人が集結。厳戒態勢の中で一部が暴徒化して商店を破壊するなどした。先進国が主導する産業化社会を真っ向から否定する彼らは、七月の沖縄サミットでも欧米で同時多発的な抗議を展開する可能性がある。

「ロンドン行動」の実行委員の一人である無政府主義者、トニー・ウッド氏(四一)は、「七〇年代、八〇年代は別々に活動していた無政府主義、社会主義、環境保護など様々な運動が、反資本主義という旗の下に初めてまとまった。一握りの金持ちが人間の生活や地球の未来を破壊しているという考え方で一致している」と説明する。だが、互いに矛盾する雑多な主張を掲げた無数の組織が、英語だけでなくドイツ、フランス、スペイン、ロシアなど数カ国語のホームページを通じて網の目のようにリンクしており、その全体像を把握するのは難しい。街頭行動でも各グループが無統制に動くため「アメーバのようにつかみ所がない」とロンドン警視庁の警備陣を嘆かせた。

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