六月十二日から予定される南北首脳会談を通じて、中国が朝鮮半島への影響力を強めそうだ。ソウルの情報関係者によると、首脳会談の準備の最初から発表までの経緯を中国が詳しく知っていると同時に、南北間の非公式な仲介者として深く関与してきたという。首脳会談について説明するため、韓国が派遣した外交団が最初に中国を訪れたことも、こうした経緯と無縁ではない。

 中国が関与するようになったのは、首脳会談についての南北秘密協議の舞台が北京だったからだ。だが、中国政府は南北特使の入国手続を簡素化するなど便宜をはかる一方、公安当局は会談準備のためにやってくる南北特使を「学生」という暗号コードをつけて特別に管理していた。

 また中国は四月二十五日、人民政治協商会議全国委員会の趙南起副主席らをソウルに派遣した。趙副主席は朝鮮戦争当時、北朝鮮を支援する中国人民解放軍の通訳将校として参戦し、朝鮮族出身では最高の地位までのぼった軍人である。ソウル到着後の会見で、趙副主席は「中国は南北対話と統一のために建設的な役割を果たす用意がある」と強調。韓国メディアは、趙副主席のソウル訪問を朝鮮半島統一に一役買いたい中国の強い意思の表われとみている。

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