二〇〇一年四月に合併して三井住友銀行となる住友銀行とさくら銀行が、野村證券との関係強化に動き出そうとしている。「三井住友銀行」は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の三行が統合する「みずほフィナンシャルグループ」、東京三菱銀行と三菱信託銀行の「三菱東京フィナンシャルグループ」をライバル視しているが、両グループとも有力な証券会社と関係がないことが弱点とされている。そこで、さくら銀行と野村證券との歴史的なつながりを軸に関係を強化し、証券分野で一気にライバルを突き放す戦略だ。

「三井住友銀行」の証券分野のパートナーはこれまで、住友銀行と合弁会社を設立している大和証券とみられていた。しかし、住友銀行と大和証券の関係は悪化の一途を辿っている。大和証券内部では、最近の業績回復によって「もはや住友銀行に頼る必要はない」との声が高まる一方、住友銀行からは「大和証券では証券分野強化には力不足」との見方が大勢を占めるようになった。

 住友銀行から合弁会社の副社長に転出していた近藤章氏が突然ソニーに移籍したことも、両社の関係を一段と冷え込ませた。さくら銀行幹部は、「大和との提携を見直せば、野村と戦略提携できる」としている。

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