六本木から市ヶ谷に移転したばかりの防衛庁で、外来者をめぐるトラブルが発生している。

 正門や裏にある薬王寺門で、業者や自衛隊OBが受付の順番待ちで列を作るのは連日のこと。一時間待ちも例外ではなく、手続きが済んでも、内局と統幕、陸海空幕僚監部のあるA棟では金属探知機のゲートが待っている。陸上自衛隊の元師団長は「顔見知りの衛視に『○○さん、ゲートをくぐって』と名前で呼ばれた時には『素性を知りながらそこまでやるか』と切れそうになった」と明かす。ゲートでは、ほぼ全員が引っかかる。携帯電話などに反応するためだ。ゲートの次は、A棟内受付で訪問先への確認作業が待っている。

 これはA棟の地下に中央指揮所があるための厳戒措置。有事や災害派遣時などに防衛庁長官ら幹部が指揮をとるための特殊施設だが、入り口は一カ所だけ。建物が崩壊すれば使用不能になるとの噂もある。

 ところで職員も不思議がるのは敷地内で携帯電話が切れること。各地の電波監視装置との交信のための巨大アンテナが犯人と疑われており、近所の住民からも「電話の調子がおかしい」との声が出ている。スマートとはほど遠い滑り出しとなった。

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