中国の江沢民国家主席(共産党総書記)が先月の党政治局常務委員会で「二〇〇二年秋の第十六回党大会を機に党総書記を辞任する」意向を表明したとの情報が波紋を広げている。江主席は三月の全人代までは二〇〇二年以降も総書記は続投する方針を周囲にもらしており、これを撤回したとすれば「主席の権力基盤が揺らぎ始めた」と分析できるからだ。

 実際、長男の大臣級ポスト抜擢や、側近の汚職追及を封じたことなどで党内や国民に江主席批判の空気が強まったのは確か。だが、現在の七人の常務委員のうち江主席に公然と対決しているのは李瑞環氏(政治協商会議主席)だけで、朱鎔基首相は江主席を支持し、沈黙している。李鵬全人代常務委員長は自らの次のポスト確保で江主席と共闘している。

 とすれば「辞任表明は当面の批判をかわし、続投への反対者をあぶり出す策略にすぎない」と見た方がいい。総書記辞任のうわさで後任に胡錦濤国家副主席の名を早々とあげたのは「自分はレームダック化しないという自信の現れで続投を示唆している」(西側外交筋)。江主席は「台湾統一の実現」を旗印に党総書記、中央軍事委員会主席のポストを手放さない可能性が高いという。

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