株主還元率(TSR)など新しい指標を用いての企業ランキングを、マーケットのプロはどう読み解くか。

 ソシエテジェネラル証券で日本のインターネット関連銘柄の株価指標「SG e-インデックス・ジャパン」の開発を担当し、現在は自ら立ち上げたオンライン投資情報会社、ドリームバイザー・ドット・コムの代表取締役を務める川崎潮氏に聞いた。

 

――アナリストとして、今回のランキングから何を読み取りますか?

 まず、地味な企業と派手な企業が混在しているのが特徴ですね。

 上位につけているユニオンツール(七位)、シチズン電子(九位)、東亜バルブ(八位)、船井電機(一三位)、セーラー万年筆(一八位)、丸石自転車(一九位)などは地味なグループ。こうした企業がランク入りしていることから、ソフトの時代と言われてきた産業の流れがまた変わって、これからまたハード、製造業が強くなる時代が到来しつつあるといえる。

 ウィンテル時代、パソコンなどのハードはコモディティ(付加価値の低い商品)化が進んできましたが、最近では『ソフトに服従しないハード』が登場しています。NTTドコモ(三二位)やトヨタ自動車が株式市場で人気を集め続けるのは、iモードやカーナビゲーションという、パソコンを脅かすようなITの新しいプラットフォーム(顧客と企業の接点となる基盤)を押さえているからです。

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