ニッチ戦略で成長軌道に 再び世界を目指す製薬大手

 藤沢薬品は「第二のグローバル発展期」を視野に入れている。八〇年代、大型抗生物質の開発・販売により国内基盤を固めるとともに米・欧・アジアに積極展開した同社だが、八〇年代末からは収益低迷に喘いできた。転機が訪れたのは九三年だ。経営戦略の軸となる免疫抑制剤プログラフを得る一方で、当時常務だった青木初夫・現社長が指揮した米子会社のリストラなども進展し、財務内容は大きく改善。昨年十月には八七年以来ひさかたぶりに、株価の過去最高値を更新した。

 肝臓、腎臓の臓器移植での拒絶反応を予防するプログラフは競合品も少なく、移植患者の増加とともに販売拡大に弾みがついている。また昨年末に発売されたアトピー性皮膚炎治療剤のプロトピックは、これまで治療に用いられていたステロイド剤に代わる薬剤で、年商七〇〇億円前後の売上げが見込める大型商品となるだろう。同時に、医薬品メーカーの生命線ともいえる新薬開発でも、自社開発品の充実が目立っている。糖尿病合併症治療剤FK-366、真菌感染症治療薬FK-463がフェーズIIIの開発段階にあり、フェーズIIには偏頭痛治療薬FK-888、アルツハイマー病治療薬FK-960がある。いずれも、世界市場でのシェア獲得が望まれる新薬だ。

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