参議院議員二百五十二人のうち、実質的に無所属といえるのは中村敦夫議員ただ一人である。氏は正確には一人会派「国民会議」の所属だが、政党助成法上の政党としての要件を満たしていないため、無所属扱いを受けているのだ。「今の政党は理念結集型じゃなくて単なる選挙互助会。バックにつく団体のために正論が言えなかったりする。社会全体のために物を言うことが政治にとって一番重要なのだから、それができないなら一人でもいい。一人で何ができるって批判もあるけれども、一人でなきゃできないって切り返しています」と、氏は語る。 中村氏は一九四〇年生まれ。東京外語大学マレー・オランダ語科(現東南アジア課程インドネシア語専攻)中退後、俳優座を経てテレビ界に進出。一九七二年には「木枯し紋次郎」に主演しブームを巻き起こした。ハワイ大学留学の経歴もあり、小説を執筆したり、情報番組のキャスターを務めるなど、多彩な分野で活動してきた。「キャスターとして世界を歩くうちに、各国と比較する視点も出てきて、日本は大変な間違いを犯していく予感がしました。政治が機能せず、官僚が全てを決めておかしくなっている。官僚独裁か民主主義かという対立軸で展開していかないと日本は変わらないと思った」

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。