小沢一郎自由党党首のお膝元の岩手県で、衆院選を目前に小沢氏の威信低下を象徴する事態が起きている。自由党は五月十一日、衆院岩手三区で現職の佐々木洋平氏から黄川田徹前県議に公認候補を差し替えることを決めた。その原因は佐々木氏の「小沢離れ」といわれる。 

 佐々木氏は、四月五日に行なわれた小渕恵三前首相退陣に伴う首班指名選挙を欠席、小沢氏への投票を放棄した。自由党を割って保守党を結党した二階俊博運輸相と示し合わせた動きとされ、これが「小沢氏の逆鱗に触れた」(自由党関係者)という。自由党は「佐々木氏の選挙準備が不十分」との理由から、東北ブロック比例代表の現職、菅原喜重郎氏の岩手三区への鞍替えなどを検討し、最終的に黄川田氏の擁立を決めた。

 一方自民党も、岩手三区では前回落選した志賀節元環境庁長官から公認候補を中村力前代議士に切り替えている。自由党は佐々木氏を比例区に転出させたいとしていたが、佐々木氏は自由党からの離党を表明、岩手県選出の椎名素夫参院議員と連携し、同選挙区から出馬する意向だという。「小沢王国」の地盤沈下は確実に進んでいるようだ。

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