農林水産省構造改善局

執筆者:生田忠秀2000年5月号

構造改善局を舞台にした汚職事件により、相次いで逮捕者を出した農林水産省。事件の背景には、農業土木技官たちが同局内につくりあげた「独立王国」が見え隠れする。 連休明けの五月上旬、霞が関の農林水産省本館を取材で訪れた。以前は全国各地からの陳情客で賑わっていた同省だったが、いまはそれらしき人影はほとんど見あたらない。 今年三月、農水省は構造改善局の農業構造改善事業に関係する汚職事件で、法文系キャリア官僚(北海道農政部次長に出向中)とノンキャリア技官(元構造改善局地域振興課課長補佐)の二人の逮捕者を出した。また、それ以前の一月には本田浩次畜産局長と構造改善局の農業土木系技官グループの頂点に立つ森田昌史同局次長の幹部二人が辞職している。 農水省内部では、かなり前から「構造改善局」に対して疑問、疑念が投げかけられていたのだが、それが、汚職事件摘発、幹部の辞職へと発展したわけだ。 この日の取材先は農水省本館五階の構造改善局。局長の渡辺好明氏に今後の対策を中心に話を聞いた。 渡辺氏は昨年一月、内部告発、怪文書などで農業構造改善事業に絡む「腐敗」が問題化した時点で自らが委員長となって「農業構造改善事業に係わる調査委員会」を設置。農水省職員十人、関係業者・団体職員など十四人の計二十四人からヒアリング調査を行ない、同年二月に「中間報告」を大臣以下の省首脳陣に提出。引き続き過去五年間に同改善事業に関係する二つの課に在籍した係長以上の職員と構造改善局長、農政部長など百六人、関係業者・団体などの二十一人からヒアリング調査を行い、同年十二月末に「調査報告書」を提出している。

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