一方、クリントン米大統領の訪印で急接近したインドとアメリカが、連携してパキスタンの核実験準備を阻止したとの情報も流れている。

 ニューデリーとワシントンの軍事情報筋によれば、「パキスタンが今年五月、核実験や新型ミサイルの発射実験を行なうために、同国北部のカフタや中部のクシャブの関連施設を拡充中」との極秘情報をインド情報機関が入手したという。インド政府では、(1)パキスタンのこれら施設への先制攻撃、(2)対抗するために新たな核実験を実施、(3)米国への情報提供による対パ圧力強化、の三つのオプションを検討したが、結局、(3)が選ばれたという。

 インドの情報を受けた米政府は、軍事衛星などを使ってパキスタンの核・ミサイル関連施設で新たな実験準備が最終段階に入ろうとしている様子を示す写真の撮影に成功。これを基に、ムシャラフ軍事政権に対し制裁措置の強化をちらつかせ、実験中止に追い込んだようだ。
 ただ、米政府はインドへの露骨な肩入れの印象を避けるため、核廃絶を訴える民間団体、米科学者連盟に「印パ双方での核・ミサイル関連施設拡充を示す衛星写真と情報」をリーク、公表させたという。

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