台湾に「独立派」の陳水扁新総統が就任したことで、中台関係の緊張は続くとの見方が一般的だが、香港では中国、台湾双方に「柔軟姿勢」をうかがわせる情報が相次いで集まってきている。

 香港当局の高官によれば、台湾の陳総統のブレーンの一人、李遠哲中央研究院院長が、五月の総統就任式とほぼ時を同じくして極秘に訪中、北京で江沢民国家主席、銭其シン副首相らと会談した。

 李氏の北京訪問については、香港で江主席の密使と陳氏側近が接触、周到に事前準備に当たった結果として実現したもので、江主席の招待という形をとったという。江主席と面会した際、李氏は陳総統の就任演説の意図などを詳しく説明したという。

 一方、香港の海運業界筋によると、台湾海運業界の大物が先ごろ、江主席に書簡を送り、台湾海峡に大型船を出し、同主席と陳総統の首脳会談を行なうよう提案した。

 この中台船上会談構想は、五、六年前にも持ち上がったことがあるが、当時の李登輝台湾総統によって拒否されている。今回は、地下の太いパイプの成果なのか、中台双方ともに意欲的で、九月か十月にも実現する可能性があるという。

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