「ゼネコン」が死語になる日

執筆者:杜耕次2000年6月号

公共事業の主導権も握れず、建設請負い業に甘んじる他ない

「一昨年の参院選といい、二月の大阪府知事選といい、最近のこの業界の対応はなんだ」

 五月二十五日、ホテルニューオータニで開かれた日本建設業団体連合会(日建連)の総会後の懇親パーティーで、来賓挨拶に立った自民党の亀井静香政調会長が、居並ぶゼネコン幹部を前にこう一喝すると、会場は水を打ったように静まり返った。

 亀井の恫喝はこれで収まらず、「五千億円の公共事業予備費も地場・中小に回してこの業界には使わせない――とか、言いたい放題だった」と居合わせた建設業界関係者は話す。金丸信が逝き、竹下登が去り、“建設族のドン”の地位をほぼ手中にした亀井の発言にさぞかし業界幹部は肝を冷やしたと思いきや、前出の関係者によると「会場の静けさは嫌悪とシラケの裏返し」。中には「あんな脅しでカネが集まるとまだ思っているのか」と吐き捨てる業界幹部もいたという。

 日建連は上場企業クラスのゼネコン六十四社が加盟する建設業界の最上位団体。自民党とのつき合いでは、かつては経団連を通じた通常献金とは別にルートがあり、例えば九〇年の「消費税解散・総選挙」の際には、当時の小沢一郎幹事長の要請で日建連が二十億円を上回る臨時の特別献金を拠出した実績がある。それから十年。失言癖のある首相をかついだ衆院解散を一週間後に控えていた亀井の意気込みと焦りは十分に想像できるが、如何せん時代は様変わりしていた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。