“復権”を仕掛ける大蔵省

執筆者:生田忠秀2000年7月号

予算を司る新設「経済財政諮問会議」の骨抜きに、いかに動いたか「財政首脳会議」なる組織が七月十七日にスタートする。「官邸」主導で来年度予算編成を行なうためという触れ込みで、政府側から首相、官房長官、蔵相、経済企画庁長官、与党側から自民、公朋、保守各党の幹事長と政策責任者が構成メンバーとなる。 同会議の発足は、森喜朗首相が就任直後の所信表明演説で、「二〇〇一年度予算案の編成では経済財政諮問会議の考え方を先取りし、私が予算編成を主導したい」と述べたのが発端となった。 経済財政諮問会議は、来年一月にスタートする中央省庁再編で、内閣府の中に設置されることになっている。その最大の狙いは、これまで大蔵省が実質的に取り仕切ってきた予算編成権の根幹部分を内閣に移行させることにある。 内閣府設置法では経済財政諮問会議を「内閣総理大臣の諮問に応じて経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項について調査審議すること」と位置づけた。 したがって、「経済財政諮問会議の考え方を先取りする」というのであれば、大蔵省の影響力を極力排除する形で予算の性格づけ、大枠の設定などを決める体制を敷くのが筋だろう。

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