「元建設相収賄」事件捜査の核心

執筆者:須田慎一郎2000年7月号

政界と闇勢力の癒着にどこまでメスが入るのか「実はこの事件に関して言えば、これまで全く明らかにされることがなかった、途方もない闇の部分があるのです」“裏社会のフィクサー”と呼ばれた許永中被告が幾多の経済事件で行なった巨額の資金調達で中心的な役割を果たしてきた元側近はそう語った。 東京地検特捜部は、去る六月三十日、元建設大臣の中尾栄一前代議士を受託収賄容疑で逮捕した。容疑の具体的な内容は、中尾前代議士が建設相に在任中に、建設省発注工事の指名競争入札をめぐって、東証一部上場建設会社で海洋土木に強い「マリコン」、若築建設から業者選定に便宜を図って欲しいという請託を受け、その見返りとして現金や小切手計三千万円を受け取った、というものだ。「中尾前代議士は、建設相を務めていた一九九六年十月九日ごろ、若築建設の石橋浩会長(当時)から、現金二千万円と額面一千万円の小切手を賄賂として受け取った」(東京地検関係者) そして、この中尾前代議士と石橋元会長の間をとりもったのが、戦後最大級の経済事件であるイトマン事件の首謀者、許被告だったのである。注目すべき「手形詐欺事件」 この「受託収賄事件」の持つ意味を知る上で極めて重要と思われる「手形詐欺事件」がある。

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