都市銀行、信託銀行、保険会社――。入り乱れる金融再編のなかで、郵便貯金が大きな鍵を握る存在になってきた。世界最大の金融機関になるみずほフィナンシャルグループをはるかに超える資金量と山村や離島にまで店舗を構える巨大金融機関がどこと組むかによって、金融地図が大きく塗り替えられることになるからだ。そこで始まったのが民間の“郵政省詣で”。これまで郵政批判を繰り広げてきた都市銀行はもちろんのこと、ネット銀行など銀行新勢力の姿も見え隠れする。「どんな民間金融機関とも提携する準備がある」。拡大路線をひた走る郵貯戦略を指揮する郵政省の幹部はこう繰り返す。かつては「民業補完」という建前から民間に遠慮して、接近するのをためらっていたが、デビットカードやATMのオンライン提携を機に方針を転換。民間の取り込みに打って出ている。 民間もこの呼びかけに呼応。来年三月までに四大銀行勢力のうち、みずほフィナンシャルグループと三和・東海・東洋信託の三行連合が郵貯とオンライン提携に踏み切る。残る三井住友銀行、三菱東京フィナンシャル・グループの二グループのうち、三井住友は「合併する二〇〇一年四月後のできるだけ早い段階に検討する」(関係者)という観測が強まっている。現在、住友銀行は郵貯批判の旗振り役である全国銀行協会の会長行。その座は、順当にいけば来年、みずほグループに譲ることになるので、提携できる環境が整うというわけだ。

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