中国初の有人宇宙飛行は、予定よりもだいぶ遅れそうだ。複数の消息筋によると、江沢民主席ら指導部は「今世紀中の打ち上げは技術的に困難」と判断、二〇〇二年九月末か十月初旬に開催する予定の共産党第十六回党大会の直前に打ち上げる計画に変更した。初の搭乗員となる空軍出身パイロット三人はロシアでの訓練を続けているという。 中国は昨年十一月、弾道ミサイル「長征2F」上部に、ロシアの宇宙船ソユーズをベースにした宇宙船を搭載して発射実験、地球を周回した後の回収にも成功した。江主席はこの無人宇宙船に、自ら中国の美称である「神州」と同じ発音の「神舟」号と命名。宇宙船の実物を前に関係者の労をねぎらう際には、毛沢東時代の「両弾一星=原水爆と人工衛星」にも匹敵する成果だと賞賛した。 科学技術の成果すら、江主席の政治的思惑に利用される格好だが、軍総参謀部の技術部門に所属する幹部の一人は「基本的な技術体系はほとんどロシア頼り。自らの技術の下地のなさを再認識するよい契機になりました」と冷静に語る。熱くなっているのは政治のみ、「煽り立てたナショナリズムの反動のほうが怖い」とこの幹部は嘆息した。

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