旧ソ連中央アジア各国の指導者たちが、引退後の自身と一族の将来の安全確保に血眼となっている。そのお手本となっているのが大統領辞任後も一切の刑事責任は問われず、現役時代の特権を引き続き維持しているロシアのエリツィン前大統領だ。 特に目立った動きを見せているのがカザフスタンのナザルバエフ大統領だ。大統領は昨年一月、西側が公正さに疑問があると指摘した選挙の結果、二〇〇六年までの長期政権を確立した。最近は、同年以降の続投を否定する一方で、早くも六年後の引退に備えて終生の不逮捕特権の確保などを議会に画策している。 それだけではない。大統領引退後も「国家運営にかかわる特別な発言権」や、後継者に対する「助言」の権限の付与を明記した法案まで議会に提出。引退後も国政の第一線から引かない姿勢を打ち出している。 カスピ海油田の開発に絡んで西側から莫大な資金が流れ込んでいるカザフスタンだが、その資金も大統領周辺の特権階級だけを潤し、一部の都市部を除けば電気も水も極端に不足している。こんな実状を尻目に保身に努める大統領には、石油利権などに絡む訴追の可能性を今から封じておく必要があるとみられる。

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