第二次森内閣で一際目を惹いた人事が、保守党の扇千景党首の建設相就任。七月四日の組閣当日未明、扇建設相をめぐるドタバタが幕を開けた。

 中川秀直新官房長官が「大臣をお願いします」と扇氏に電話したのが午前一時。ポストの名を明かす、明かさぬで押し問答の末断られた。今度は森喜朗首相自らが説得に乗り出し、「ポストは建設省。助けてほしい」と哀願。中尾栄一元建設相が逮捕され、自民党議員は適当でない旨を伝えると、これに扇氏が爆発。建設は女に渡したことはない。平沼赴夫通産相や西田司自治相の代役か。建設委員会に一度も出てない。都合のよい時だけ女性のイメージを利用するなどと一気にまくし立て、「それで私というのは間違い」とけんもほろろの応対だった。

 あまりの剣幕に、困った森首相らは野田毅保守党幹事長に説得を依頼した。そして野田氏が「党の全員でサポートする」と弱小政党の悲哀を込めて、ようやく承諾。扇氏は森首相に「幹事長と相談しお受けする」と回答したものの、苛立ちは収まらず「予算委員会で集中砲火を浴びる。どうして私が尻拭いしなければならないの」とさらに一撃。その後も「女ならいくら洗っても何も出てこないという安心感があるだけで、自民党には有資格者はいない」などとキツイ言動を繰り返している。
 第二次森内閣、首相自身の舌禍もさることながら、扇建設相の口撃もまた悩みのタネだ。

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