五月の大統領選決選投票で勝利し、七月末に政権三期目に入ったばかりののフジモリ・ペルー大統領に暗殺の懸念がささやかれている。 リマの消息筋によれば、フジモリ暗殺計画はペルーの伝統的支配階級に属する富裕層の強い支持を受けた有力野党のアメリカ革命人民同盟(APRA)の地下組織と軍の一部将校が練っているという。 APRAは八五―九〇年のガルシア大統領時代の与党で、依然としてかなりの勢力を維持している。かつて軍部との血なまぐさい抗争で暗殺や謀略に明け暮れたこともあり、その秘密武装組織が現在ペルー国外で再起を目指している。 APRA秘密組織のメンバーがフジモリ三選が決まった五月末、秘かにリマ入りし、大統領を敵視する保守派の実業家グループの資金援助を取り付ける一方、軍のAPRAシンパの将校と接触、「フジモリ暗殺の具体的方策」を協議したという。 ペルー治安当局はこれまで、極左ゲリラ「センデロ・ルミノソ」(輝く道)や、日本大使公邸人質事件の「トゥパク・アマル革命運動」の残存分子の動きに目を光らせてきたが、APRAについてはノーマークだといわれる。

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