日銀が昨年二月以来続けていた「ゼロ金利政策」を解除したが、その背後には金融政策の主導権を維持したい大蔵省と、独立を証明したい日銀との対立が垣間見える。 特に焦点となったのが日銀内で最も積極的な解除論者だった企画担当の増渕稔理事。八月の解除は増渕理事が描いたシナリオといわれ、日銀内では「増渕総裁待望論」すら聞こえてくる。大蔵省にしてみれば面白かろうはずがない。増渕理事は、大蔵省の長野厖士元証券局長や杉井孝元審議官らと共に、金融機関による癒着・接待問題で矢面に立たされた大物の一人。一時は干されていたが、長野・杉井両氏が辞任を余儀なくされたのに比べれば処分は甘い。 それなのに今や、日銀は「禊は済んだ」との見方。大蔵省が政府・与党に「ゼロ金利解除は時期尚早」と説いて回った理由の一端は、増渕氏に対する悪感情もあったようだ。

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