頼りない総理としての評価が定着した森首相だが、九月上旬のプーチン・ロシア大統領の訪日で、改めて無能ぶりを露呈し、政府・与党や外務省の一部から「森ではロシア外交はできない」との声さえ出始めた。 日本側が「仕切り直し」と位置づけた今回の首脳会談で、森首相は外務省作成のマニュアルに従って領土問題について一応の主張はしたものの、「国内情勢」を盾に譲歩の困難を説くプーチン大統領を前に全く切り込めず、想定問答が終わると、領土問題に関する話が途切れてしまい、同席した外務省幹部が慌ててメモを差し入れても後の祭り。ロシア語で歌うロボット犬「プーチ」で笑いを取るのが精一杯だったという。 こうして終わった首脳外交を、ロシア側が「予想以上の成果」(駐日大使館首脳)と評価し、日本外務省幹部が「穏やかな成功」としか言えなかったのも無理はない。首相は会談の成果として、二〇〇〇年末までの平和条約締結を目指すことをエリツィン前大統領が約束したクラスノヤルスク合意を、プーチン大統領との間でも確認したと強調した。だが、その舌の根も乾かないうちに、自らの訪ロが年明けになる可能性を記者団にしゃべるお粗末ぶりだった。

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