「公営カジノ構想」をめぐる暗闘

執筆者:宮沢明夫2000年9月号

ラスベガスから日本逆上陸を目指すアルゼとコナミの争い 東京都の石原慎太郎知事が都の財政再建の切り札として“臨海副都心カジノ構想”をぶち上げてから一年半。同構想はその後表面上はなんの動きも見せていないが、民間企業の間では水面下の動きが活発化している。なかでもカジノ開設によって最も利益を享受できるのがスロットマシーンなどの機器メーカーだ。パチスロ最大手のアルゼとゲーム機器・ソフト大手のコナミが、この巨大な権益をめぐって角をつき合わせている。「アルゼがラスベガス(米ネバダ州)のカジノ進出へ動き出した」 今年六月末、こんなニュースがインターネット上に流れた。アルゼがラスベガスのカジノを監督するネバダ州ゲーミング委員会にスロットマシーンなどの製造販売免許を申請したという。 石原発言以来、公営カジノ構想は日本全国に広がった。静岡県の石川嘉延知事が県の観光・経済活性化のためカジノ研究を開始。また、愛知県の中部国際空港の空港島などにカジノを新設する構想があるほか、沖縄県では県経済界メンバーで構成する調査団がラスベガスを視察、カジノ設置を前提にした研究会を結成している。 カジノを作ればカネが落ちるだけでなく、飲食施設やホテルなどを誘致した一大商業圏が出来上がる。東京・お台場のカジノ構想の場合、経済効果は一兆円とも言われる。これらの自治体がカジノ設置に成功した場合、本場ラスベガスなどで実績のあるメーカーが有利なのは言うまでもない。

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