六月末の衆院選で、民主党は公示前から議席を三十以上伸ばし、百二十七議席を獲得。「大躍進」などと評した新聞も多かった。しかしながら、「勝者なき選挙でしたね」と振り返るのは、当の民主党の樽床伸二議員だ。「多くの国民が社会の変化を認識している中、今までのやり方ではうまくゆかない、過去とは決別しますとはっきり示さないと、どこも選挙に勝てなくなっている。でも、そんな政党はなかった。我が党も、右から左までの寄せ集めとよく言われるけれども、十年前に終焉したイデオロギーの座標軸で依然測られていること自体、過去を払拭したとは見られていない証拠です。 自民党と違い、当選一回から三回までの若い議員が、衆議院では約七割を占めるなど圧倒的に多い。今回、若手が多く当選したのも時代の要請だと思う。思いきった代替わりを図り、過去との決別姿勢を示さないと、次の選挙でも勝てないでしょうね」 一九五九年生まれの樽床氏は、子供の頃から政治の道を目指してきた。全盲だった祖父の存在がその大きな理由だという。「『障害者を甘やかす一方の福祉政策は間違っとる。障害があっても努力して生きていかなきゃあかん』と盛んに言ってました。でもそのためには、機会が平等に与えられ、努力が報われる社会でなくてはならない。そんな社会を作っていかなければならないと思い、政治を志向し始めたんです」

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