米軍普天間基地の返還に伴う代替施設をめぐり、造船各社やゼネコンが水面下の動きを強めている。政府と沖縄県による「代替施設協議会」で、県が中型旅客機が離着陸できる二千メートル級の滑走路案を明らかにし、政府も協力を約束。一兆円のビッグプロジェクトが動き出した。 沖縄県北部の名護市東海岸に建設が予定される代替施設は、政府が示した「海上案」と地元経済界が推す「埋め立て案」の二案がある。海上案は沖合にメガフロートを浮かべて滑走路を造る「超大型浮体総合システム研究会」(十八社)と、杭打ち式のQIP工法を採用する「沖縄海洋空間利用技術研究会」(十九社)が競っている。両研究会は地元経済界が埋め立て派と分かるや一部埋め立ても併用すると表明、違いはほとんどない。しかも加盟社は造船各社とゼネコンが並んで、十七社が重複加盟。どちらの工法が採用されても受注できる仕組みになっている。 一方、地元大手の國場組は米国の総合建設会社ベクテル社と組んで、稲嶺恵一沖縄県知事に埋め立て案を強力にプッシュしているとされる。 いずれにせよ、地元住民の願う「基地のない平和な沖縄」の実現が夢物語になることだけは確かだ。

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